初めて来た人へ

君のことが……
第1章 〜 出会い 〜

あれから、半年……異国の地で君は何をしているのだろうか? 
辛い病気に必死に耐えているのだろうか? 
その、病気を克服して、今は元気に過ごしているのだろうか?
もし、病気を克服したのなら……早く、早く、俺の元へ帰ってきてくれ。
君をこの手で抱きしめたい…君を傍に感じていたい……
みなも……俺は、今でも君のことを待っているよ………。

     〜 Memories Off  ONLINE 
      Minamo Sutorie 〜
       〜 君のことが……〜


 俺、速見駿が、伊吹みなもに出会ったのは、高1の三学期が始まったころだった。
 もう、春なのに冬の肌寒さが残っているのをよく覚えている。
 今の授業は古典、しかし、俺は他に重大な問題を抱えていた。
駿「寒そうだなぁ…」
 そう、次の授業が体育だということ…… この、クソ寒い時期に体育……しかも、マラソンをやらせるなんて…… 先生も、もうちょっと生徒のことを考えて欲しいもんだ。心なしか、周りのクラスメートも暗い表情をしているような気がする。
駿「ハァ……」
 全く、ため息しかでないよ……。
駿「ん?」
 ふと、隣で、シャーペンで突付いてくるのに気がついた。
駿「伊吹……何だ?」
 今年に入ってから、俺の席の隣に座っている、伊吹みなも。体が弱く、学校も休みがちで、一学期の時なんかは、全くと言って良いほど学校には来ていなかった。そのせいか、隣の席であるにもかかわらず、積極的に彼女と話す機会がなかった。 
まぁ、単なる「お隣さん」程度の認識しかなかったのである。
駿「どうした?どっか、具合でも悪いとか?」
 何か、一生懸命、目で訴えかけてきている。かといって、俺がなにかしたわけでもないし…… しかし、俺は、このとき、自分に置かれている状況をまったく理解していなかった。
古典教師「では、速見君。ここは何になるか分かるかね?」
 先生の指さした黒板には、教科書に載っている古文の一節が書いてあった。 そう、古文の授業中に指されていたのだった。 伊吹はそれを目で訴えかけていたのだ。凄く汚い字だったが、今はそんなことを気にしている場合じゃない。
 早く答えないと…… 答えないと………
駿「えっと………」
 椅子から立ち上がり、必死に答えようと頑張ってみる…… しかし、人間そんな無理なことなんてできはしない。 教科書と先生の顔を見比べ、こうなったらと適当に答えようと思った。その時………
みなも(速見君、サ変の未然形だよっ)
駿「え〜、サ行変格活用の未然形だと思います……」
 とっさに、聞こえてきた声の通りに俺は答えていた。
古典教師「む、正解だ。ぼーっとしていたように見えたがちゃんと聞いてたのか。」
 感心、感心。 と、後で付け加え、授業を再開した。
何とか、危機を乗り越えたようだ。
駿「ふぅっ 」
 安心して座ったところで、横を見ると、伊吹が微笑んでいるのが見えた。
駿(サンキュ。助かった)
伊吹(どういたしまして)
…………
 これが、俺とみなもが初めて交わした会話だった。
それと同時に、彼女という存在が気になりだした時でもあった。

 地獄の体育の授業が始まった。種目はやっぱり、寒空の中でのマラソン……
駿「ハッ……ハッ……」
 最近運動をしていなかったせいか少し走っただけで息が上がってしまう。中学の頃
は、運動部に入っていたから体力だけはあると思ったんだけど……
駿「ゴールまであと少しだってのに……」
疲れる……
いくらなんでもこの学校の外回りコースは長すぎる。その長さ10km……運動部でも疲れるコースだ。
しかも、最後の最後で校舎までの長い坂が待ち構えている……ちなみに、今、その坂を上がっている真っ最中だ。状況は……もう死にかけ………どれだけ足掻いても前に進まない……そんな感じ………足掻いても結果が変わらないのならそう思って走るのを止め歩こうとした時、坂の途中でこちらに向って手を振っている女の子の姿が目に入った。
みなも「速見く〜ん!あとちょっとだから頑張って〜〜!!」
手を振っている女の子はみなもだった。ツインテールが踊るように揺れている。 彼女はジャージ姿だった。どうやら体育は見学にしたみたいだ。
駿「ハァ…ハァ……ぃょしっ!!」
応援してくれている彼女の前で恥ずかしいところなんて見せたくない。そんな気持ちが沸きあがり、俺は最後の気合を振り絞った。
駿「うをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
知らず知らずのうちにかけ声がでた。
まわりのヤツは「何事だ」というような顔をしている。しかも、笑うヤツまでいる。
それもそのはず、かけ声と裏腹にあまり前へ進んでいなかったからだ。
みなも「頑張って〜!」
 何とか、登り切り彼女の隣を通り過ぎるときだけ、俺は歪めていた顔を無理やり笑顔にした。
しかし、多分それは、逆にひどく滑稽なものになっていたんだろうな。後ろから聞こえる笑い声を背に、俺はそんなことを考えていた。

 放課後、帰宅部の俺が帰ろうとすると、珍しくみなもが声をかけてきた。
みなも「ね、速見君。 マラソンの時、面白かったね♪」
駿「面白かった……か。やっぱり…」
みなも「え? やっぱりって?」
駿「顔…だろ?俺、別に伊吹を笑わせるつもりなかったんだけど」
みなも「アハハッ♪ そうなの?でもすっごく面白かったよ。こ〜んな感じで。」
 そう言って、みなもは手にしていたクロッキー帳と鉛筆で俺らしき顔をさらさらと描いていった。
みなも「ね?似てるでしょ?」
駿「ゥ……お、俺、こんな変な顔してたか?」
みなも「してたよ〜。」
 みなもの描いてくれた俺の顔は、七福神の恵比寿様を縦に伸ばした…… そんな顔
をしていた。
駿「伊吹、美術部だろ?全然似てないよ。」
みなも「ううん。そんなことないもん!」
駿「ホントに? ……こんな感じか?」
 みなもの迫力に押され、俺はあの時の顔をした。マラソンの時の、あの顔を……
その顔にみなもは………
みなも「あはははは。 速見君って面白いひとだったんだね。」
駿「確かに、それはよく言われる……でも、伊吹の方こそ変わってるよ。いきなり、似顔絵なんか書き始めるしさ……」
みなも「そうかな…私、絵を描くぐらいしかできないから…… 入院してばかりだから、友達作りにはいいでしょ?」
駿「え?伊吹って、友達多そうだけど?」
みなも「入院してばかりって言ったでしょ?それで、よく学校も休んでるから」
駿「……そっか」
 しかし、暗くなりかけた雰囲気を察したように、みなもは笑顔を見せた。
みなも「あはは♪大丈夫。気にしないで。大切な友達はたくさんいるから。時間は短くても、その瞬間を大切にすればいいんだもん。」
駿「伊吹は…強いんだな。」
 自然に、本当に自然にそんな言葉が出た。 彼女には、人を素直にさせる何かがあるのだろうか…… そんな台詞言ってしまって少し恥ずかしくなった俺は、話を逸らすために彼女のクロッキー帳を指差した。
駿「それ、他にはどんなのを描いてるんだ?」
みなも「う〜んっと、風景が多い…かなぁ。私、この街が大好きだから。」
駿「へぇ……」
みなも「そうだ、速見君。この後、何か予定ある?」
駿「いや、俺、帰宅部だから特にないけど……何で?」
みなも「えっとね……」
駿「どっか、遊びに行くのか?」
 本当に自慢にならないのだが……俺は、この16年間、こうして女の子に誘われたことがないのだ!! ……なんか、空しいが…嬉しくもある。 しかし、彼女の返事は、それとは予想が違っていた。
みなも「えっと、そうじゃなくて……暇なら、うちの部室に見にきてくれないかな〜って……」
駿「…………」
みなも「でも、無理に勧誘はしないから安心して!!」
駿「う〜ん、成程。」
 話がうまく行き過ぎてると思ったけど、こんな落ちがあったとは…… そんな俺の気分を察してか、みなもは申し訳なさそうに言った。
みなも「ゴメン……実は、速見君が帰宅部だって知ってて…それで、今、男の子が少ないから………」
 当然、今の時点で美術部に入るつもりはない。 でも、彼女ともっと話がしたい……彼女にこんな顔をしてほしくない…… その気持ちの方が大きかったため、俺はOKをした
駿「ん……まぁ、とりあえず、その美術部とやらを見にいってみますか。」
みなも「え?いいの?」
駿「別にいいよ。でも、まだ入るとは言ってないからな。」
みなも「エヘへ。うん♪それじゃ、案内するね♪♪」
 そう言って、みなもは嬉しそうにおれを美術部の部室へ案内してくれた。

駿「なぁ。」
みなも「うん?」
駿「ここって、本当に部室だよな……?」
みなも「そうだけど…どうしたの?」
駿「じゃあ、誰もいないってのはおかしいだろ?」
 3階の一番奥にある美術室…その扉をみなもが開けた瞬間、独特の香りが漂ってきた。美術室なら当然だが、ここである疑問が浮かんだ。 
『なんで、誰もいないんだ?』これが、その疑問だった。
 そして、その疑問をみなもに聞くとこんな返事が返ってきた。
みなも「実は、部員が私一人なんだ……」
駿「嘘だろ?」
 いくらなんでも、一人はありえないだろう。ってかありえん。
みなも「うん、嘘♪」
駿「……オ、オマエ」
みなも「アハハ。本当はもっといるはずだよ。」
駿「はず……か。実際の部員の数は伊吹も知らないと…」
みなも「うん。うちの部、ほとんどが幽霊なんだ。」
駿「ホゥ…」
みなも「あ、速見君。」
 みなもが、俺に座るようにと椅子をすすめてきた。
駿「あー、サンキュ。んで、実際に活動してる部員の数は少ないわけだな。」
みなも「うぅ……鋭い。でも、うちの部は少数精鋭だもん。」
駿「まぁ、いいか。それより、みなもの描いた絵、見せてけれ。」
みなも「けれって……。ん〜、ちょっと待っててね。」

みなも「うんしょ、えいしょ。」
 奥から、やたら重たそうにキャンパスを持ってくるみなも。手伝ってあげようと席から立ち上がろうとすると、「お客さまなんだから、座ってて」と、言われてしまい、仕方なくその場で待つことにした。
駿「大丈夫か?」
みなも「う、うん。 ハァ…ハァ… えへへ。」
駿「ハ、ハハ。」
 必死に平静を装うみなもに、なぜか苦笑いが出てしまった。まぁ、そんなことは置いといて、絵の感想のほうだが……素人目でも分かるくらい上手かった。絵そのものが持っているパワーと言うか、エネルギーが伝わってくる。実際には、有り得ない光景かもしれないが…… まるで、その一部を切り取ったかのように、むしろ、キャンバスから広がっていくかのように、海は黄金色に輝いていた。
駿「……」
みなも「ど、どうかな? 気に入ってもらえたかな?」
駿「凄い…」
みなも「へ?」
駿「凄いよ、みなも!こんなこと、言うのは恥ずかしいけど……すっごく感動した! 絵のことが分からない俺でも、凄いってのがわかるよ!!」
 ボキャブラリー不足で、何言ってるのか自分でも分からない。 でも、それでも、この感動を何とか伝えたかった。
みなも「えへへ……そんなに誉められると、私のほうが恥ずかしいよ。でもその絵、私も気に入ってるんだ〜。」
駿「まるで、見てきたみたいだな。って言うより、見てきてないとこんな風に描けないよな。」
みなも「うん。でも、どこで見たかは話せないな……」
駿「何で?」
みなも「だって、言ったら速見君、絶対笑うもん……」
駿「んなことしないって、教えてくれよ。」
みなも「笑わない?約束する?」
駿「おぅ、約束する。」
みなも「実はね、夢の中なんだ。」
駿「夢?」
みなも「そう、夢。」
駿「へぇ。でも、やっぱり凄いな。」
みなも「へ?」
駿「夢の中の出来事をそのまま描けるってのは、凄いことだろ? それができるみなももやっぱ、すげぇよ。」
みなも「笑わないんだね……」
駿「ちゃんと約束したからな。でも、どうして隠すんだ?こんなに凄い絵なのに。」
みなも「うん、ここの部員に同じようなこと言ったら笑われたんだ…でも、笑わないで、しかもここまで誉めてくれたのは速見君が初めてだよ。どうも、有り難う。エヘへ……」
駿「ハハハ。いえいえ、どういたしまして。それで、他に伊吹の描いた絵はないのか?」
みなも「あ、ごめん、他の絵は展示会用に直すために全部家に持って帰ってるの。でも、他の子の描いた絵ならあるよ。待ってて♪」
駿「手伝おうか?」
みなも「だから、速見君はお客さまでしょ。」
駿「う……分かった。」
その後、また重そうにいくつかのキャンバスを抱えて戻ってきた。
駿「なぁ、本当に大丈夫か?」
みなも「さ、流石にきつかったかも……」
駿「ォィォィ。」
みなも「そんなことは、どうでもいいの。それで、この辺がオススメかな。」
駿「へぇ……」
 みなものレベルには達していないけど、オススメするだけあってなかなかいい出来になっている絵が多い。 そんななか、俺の目を引くえがあった。
駿「この絵、なんか凄いな。勿論、伊吹のほうが上手いけど。」
 それは、どんよりとした曇空の下を白い鳥が羽を休めている絵だった。さっきの、みなもの明るい絵を見た後だったかもしれないが、それが、余計にこの絵に印象ずいて仕方がなかった。 そして、それを見たみなもが小さく微笑んだ。
みなも「速見君、やっぱり美術部に入らない? 結構、絵を見る目があると思うんだけど」
駿「そうか?」
みなも「うん。それ描いた子、F組の希ちゃんって言うんだけど、知らない?」
駿「いや、全然。」
みなも「そっか。でも、希ちゃん可愛いから、見ればわかると思うよ。」
 そう言われても、知らないものは知らない。大体、同じクラスのみなものことですら、全く知らなかったのに、他のクラスの子のことまで知っているわけがなかった。
みなも「それで、他に気に入ったのある?」
駿「そうだな……後は…これかな。」
 悩んだ末に俺が指さしたのは、最初に選んだものとは対象的に、爽やかな青空の下を、白い鳥が優雅に舞っている絵だった。
駿「さっきのとはまるで違うんだけど、構成してる要素は同じって言うか…」
みなも「さっすが速見君!それも希ちゃんが描いたんだよ。」
駿「え?これもなのか?」
みなも「うん。希ちゃん、いつも大抵全然違う絵を二枚同時に描き始めるの。それで、同時進行で二枚の絵を描いていって、終わるのは同じぐらい、描くのはあんまり早くないんだけど、すごく濃い力のある絵を描くの。」
駿「へぇ、なんか凄いんだな。ますます俺なんか、必要ないと思うんだけど…」
みなも「そ、そんなことないよ!速見君、絵の良さが分かる人だし、それに……」
ガラッ ガラッ
 みなもが立ち上がって力説しようとしたその時、背後の扉が開いて、一人の少女が現れた。
みなも「あっ、希ちゃん。」
希「ご、ゴメン。話し声が聞こえてきたから誰かいるんだと思って……すぐに帰るから、気にしないでね。」
 どうやら、希と呼ばれた女の子は、俺たちが美術室でデートでもしていると勘違いしたらしい。慌てた様子でスケッチブックを手に部屋を出て行こうとした彼女を、みなもが呼び止めた。
みなも「ねっ、希ちゃん、時間あるならちょっといいかな? 新入部員の勧誘してるんだけど」
希「え?そうだったの?私、てっきり……」
駿「おい…」
みなも「へ?何?」
駿「あ、いや……何でもない。」
 『まだ、入るとは言ってない』、確かにそう言ったはずなのに、勝手に話を勧めるみなも。あ、でも、だから勧誘してるって言ったのか… って、そんなことは置いといて、否定するタイミングを失った俺は、結局、なにも言わないまま話をすすませられた。 ちなみに、希についての感想だが、みなもが言った通り可愛らしい子で、活発な印象を抱いた。多分、スポーツもそれなりに出来るだろう。
 そして、そうこうしているうちに、話は展覧会の方にいった。藤川にある市の会場を借りて毎年、展覧会を行っているらしい。
駿「それで、その展覧会がみなも達の活躍の場ってわけか……」
みなも「そうなの……だから、絶対成功させたいんだ」
希「頑張って、伊吹部長♪」
 どうやら、みなもが次期部長らしい。まぁ、確かに体が弱い事を除けば、彼女が適任だろう。もし、みなもが無理なら、その次は希ちゃんということになる。
みなも「もう、希ちゃんも頑張るの!」
希「分かってるよ。他の人の二倍頑張っちゃうから♪」
みなも「希ちゃん……」
急に、みなもが何か咎めるような口調で、希の名を呼んだ。
希「あ、え、えぇと、うん。そういうつもりってこと。深い意味はないよ。」
駿「……?」
 今の会話で何が問題だったのか、俺には分からなかった。
しかし、二人がその話題を逸らそうとしているのだけは分かった。
希「あ、そうだ。速見さんも、見に来てくださいね。」
駿「え?うん、別に構わないけど、場所と時間が分からないな。」
希「藤川はあまり詳しくないんですか?」
駿「まぁね。」
そう俺が言うと、まるで用意してあったかのように希が鞄から一枚の紙を取り出した。
希「ハイ、これに書いてあるますから。もしよろしければ、お友達ちとかも誘って来てくださいね。」
 それは、展覧会の開催を告知するチラシだった。
主催のところに、『澄空学園美術部』と記されている。
そして、モノクロではあったが、みなもの描いた黄金の海の絵が載っていた。
みなも「来てくれるよね、速見君?」
 みなもと希が期待の眼差しを向けてきた。俺は、そんな風に見つめられ、断れなくなってしまった。って、まぁ、元から断るつもりはないんだけど……
駿「あぁ、もちろん行くよ。」
そう答えると、二人は飛び上がるくらい喜んだ。
みなも「やった!これで、お客さん一人確保だね。」
希「それじゃ、あと少し、頑張らないと。みなもちゃん、もう終わったの?」
みなも「うぅ……まだ、もうちょっと………」
駿「だったら、俺、設営とか手伝おうか?俺から見るに活動してるのは二人だけなん
だろうし……」
 俺が、こんなことを言ったのには訳がある。今までの話の流れからして、美術部でまともに活動しているのはこの二人……ということは、二人で絵を描いて展示まで行わなきゃいけない。それは、言うまでもなく大変な労力を伴うはずだ。それをただ見ているのは忍びなかった。そして、希はともかく、みなもは普段入退院を繰り返している……それが心配だったのだ。
みなも「え、いいの?」
駿「ああ……俺、絵を描くのとかは無理だけど、雑用とかならなんとかなると思うん
だ。」
希「本当ですか!助かります!!」
しかし、喜ぶ希とは対象的に、みなもは俺から目を逸らすようにして呟いた。
みなも「でも……やっぱり悪いよ……自分で呼んでおいてなんだけど………」
駿「アハハ、そんなこと気にするなよ。俺たち、もう友達だろ?」
みなも「……え?」
駿「伊吹、言っただろ?『絵で友達を作る』って……だから俺たちはもう友達なんだ。OK?」
みなも「速見君……うんっ。ありがとう!」
駿「ノリが悪いなぁ。そういう場合は、『OK、ブラザー!よろしくな!!』って言わなきゃ。」
みなも「OK、ブラザーって……アハハハハハ、速見君って、やっぱりおもしろ〜い アハハハハハ!!」
駿「そ、そこまで笑わなくても……あ、それと、希ちゃん。」
希「はい、なんですか?」
駿「俺なんかに敬語使わなくていいよ。もっと、フレンドリィに、ね?」
希「フフフッ、はい努力します。」
駿「あ、ほらまた……」
希「あ、ホントですね。アハハハ。」
 ひとしきり笑いあった後、俺たちは色んな話をした。希には、今、病気を患っている妹がいることや、みなもが入院している時はどんな風に過ごしているか、今後の美術部の活動など……本当に取り留めのない話だったが、凄く楽しい時間が過ごせた。正直、こんなに充実した一日を遅れたのは久しぶりだった。 話が切りのいいところまで来た時には、もう既に日が沈んでおり、俺たち3人は学校を出ることにした。そして、駅までの帰り道俺たちは携帯の電話番号と、メールアドレスをお互いに教えあった。
みなも「それじゃ、これで登録っと。あ、私、病院にいるときは電源切ってるから、何かの時に連絡遅れたらゴメンね。メールの方が確実かな。」
駿「了解。俺の方はいつでもいいよ。」
希「私からも、今度メール送らせていただきますね。」
駿「希ちゃ〜ん、俺に敬語は使わなくていいって。」
希「あ、えと、ついクセで………」
駿・み「アハハハハハハハッ」
 こうして俺は、美術部に入部(?)することになったのだった。
それが、新たなる出会いとトラブルの始まりであることとは知らずに………

                       第1章 〜出会い〜  完

Jyun「メモリーズオフオンライン!!」
みなも「君のことが!」
希「スペシャルトークターイム!!!」(イェ〜イ!!!)
Jyun「さあ、メモオフSS第一弾。『君のことが』、遂に始動〜!!」
……
………
Jyun「うん?なんで盛り上がらへんねん??」
みなも「だって、1章が完成するまでに、随分時間がかかってるし…」
希「これだけ読者を待たせておいて、私たちだけ盛り上がるのはどうかと思いますけど……」
Jyun「うぐ……ま、まぁ、無事に出来たんやからその辺は置いといて……」
み・め「置けるわけないだろドライバー!!」
ドフッッ! ガスッッ!!
Jyun「ハゥッ!」
……Jyun、3m程吹っ飛ぶ
希「さてと、では、このお話の設定を聞いてみましょうか?」
みなも「そうだね、そうしよっか。希ちゃん♪」
Jyun「ア、アタタ……痛い目におうた………」
みなも「Jyunさんが悪いんですから自業自得です。」
希「そうですよ。読者を待たせちゃいけません!!」
Jyun「たしかに、読者の方々、すんませんでした。」
み・め「うむ、よろしい。」
希「それでは、気を取り直して……  え〜っと、Jyunさん?」
Jyun「ん?なんや?」
み・め「この物語りの設定はどうなってますか?」
Jyun「み、見事にハモりよった…(苦笑) え〜、このストーリーはメモオフオンラインのみなもストーリー……そのアナザーストーリーになってるわけなんやけども、みなもと出会ったところから始まっている!! これ、なんでか分かる?」
みなも「う〜ん……」
希「え〜っと……」
みなも「読者の人にメモオフオンラインを知らない人がいるからかな〜」
Jyun「おぉ〜、ずばり正解! この世の中、携帯電話を持っとる人が少ない。そして、メモオフオンラインのストーリーは携帯でないと見られへん。それで、そのストーリーを自分なりにアレンジし!(そのまま移すと著作権に関わりますので…)それを皆さんに知っていただくために、そのために、始めから書いてるわけなんよ〜!!(力説)」
みなも「わ〜、凄いなぁ。みなも、尊敬しちゃいます!(棒読み)」
希「私もです!皆さんに知っていただく…それだけのために書くなんて、凄いと思います。(同じく棒読み)」
Jyun「あ〜、もう、ドンドンしてもうて!アハハハハハ!!」
希「これで調子に乗ってるし……ま、いっか。え〜っと、次の質問は………」
みなも「あ〜、希ちゃん!もう、こんな時間!!」
希「あ、ホントだ。Jyunさん、たくさんの質問に答えてくれて、有り難う御座いました。」
Jyun「いや、一つしか答えてへんし!」
みなも「次回もよろしくお願いしますね。」
Jyun「無視か!おい!!」
みなも「これにて、メモオフオンライン、君のことが!」
希「爆笑トークコーナーを終了します〜。」
詩音「それでは次回、第2章 違和感 まで……」
み・め・し「ごきげんよう」
Jyun「勝手に締めるな!タイトル変えんな! ほんで、なんで詩音がここにおんね〜ん!!」
詩音「最後の『ごきげんよう』は、お約束ですから。」
Jyun「関係あらへんやろ〜!」
こうして、ヒロイン達にコーナーをかるく乗っ取られたJyunであった。
続く、続く……
Jyun「コーナーやのうてトークタイムやぁ!!!」


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